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日本を取り巻く現状

2025年03月03日 日本を取り巻く現状

戦後の国際的な立ち位置

日本は、国際連合(国連)の「旧敵国条項」において、依然として「敵性国家」として位置づけられています。この条項には、日本のほか、ドイツ(旧ナチス・ドイツ)、イタリア(旧ムッソリーニ政権)、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、フィンランド(限定的に)が含まれています。
ドイツやイタリアは戦後、新たな国家体制を確立し、西側諸国との和解を進めたことで、旧政権単位での責任が強調されました。一方で、日本は天皇制を維持しながら民主化を推進したため、こうした区別が明確にはなされていません。
ただし、旧敵国条項は現代の国際社会において実質的に「死文化」しており、日本に具体的な制約を課すものではありません。2005年以降、この条項の削除を求める動きがあるものの、削除には国連常任理事国すべての賛成が必要であり、採決には至っていないのが現状です。
この削除が進まない背景には、国際社会の複雑な利害関係が関わっています。
特に、中国やロシアは歴史問題や領土問題を抱えており、日本が形式的に「敵性国家」とされ続ける状況を戦略的に利用している可能性があります。また、フランス・イギリスなど国連改革に消極的な国がありことや、多くの国がこの問題に関心を示さないことも、削除の遅延を招く要因となっています。さらに、削除が否決された場合の政治的影響を懸念し、該当国がこの問題を積極的に議論しない姿勢を取っていることも考えられます。
このような状況を踏まえると、日本が形式上「敵性国家」とされ続けているのは、戦後体制の特殊な一端を示す象徴的な課題といえるでしょう。

日本の周辺国家と安全保障環境

日本を取り巻く中国・ロシア・北朝鮮は、いずれも共産主義の流れを汲む権威主義国家であり、実質的には独裁体制を維持しています。これらの国々に共通するのは、力による統制と国家主義的な外交姿勢です。
特に、中国とロシアにとって、太平洋への進出を図る上で日本の存在は戦略的な障害となります。そのため、日本を自国の影響下に置く、あるいは西側諸国から引き離すことは、両国の権威主義体制を維持する上で重要な要素といえます。
また、北朝鮮にとっても、朝鮮半島統一の障害となる日本が、地域の安定要因として機能しないようにすることは、戦略的な目標の一つとなるでしょう。
この三国は、表向きの関係はともかく、準同盟的な形で連携を取ることが多く、対日政策においては共通の利害を有しています。ロシアのウクライナ侵攻に際して、北朝鮮が戦闘員を派遣していることからも、東シナ海や南シナ海で有事が発生した場合には、武力行使のみならず、情報戦や経済的な圧力などを含むさまざまな手段を用いる可能性があります。
こうした状況を踏まえ、日本は周辺の安全保障環境の変化に対応しつつ、戦後の国際的な立場を見直すための外交努力を継続する必要があるといえます。

大陸から韓国への影響

韓国では、日本よりも儒教的価値観が強く根付いており、それが社会構造に影響を与えています。特に、長幼序列や縦社会の意識が強い一方で、政治意識の面では「権力に対する反発」も非常に強く、それがリベラル色を生む一因となっています。
また、韓国は民主化の歴史が比較的浅く(1987年の民主化宣言)、軍事独裁政権からの脱却を経てリベラル化が進みました。こうした歴史的背景が、特に若年層の進歩派(リベラル)志向を強める要因になっています。
対日関係でみると、リベラルとされる進歩派(左派)は、日本に対して歴史問題を強く訴える傾向があり、反日教育を通じた国家アイデンティティの形成にも関与しています。
一方で、保守派は日本との関係を重視し、米韓同盟の強化を図る傾向がありますが、韓国の左派が長らく教育界やメディアを掌握してきた影響で、リベラルな国民感情が強まる傾向にあります。

また、地理的に韓国は日本よりも大陸に近く、中国・ロシア・北朝鮮という権威主義国家に囲まれています。地政学的に見ても、韓国が親中・親露に傾くことは西側の勢力圏にとって大きな打撃となります。
中国にとって、韓国が西側にしっかり組み込まれることは避けたい事態であり、韓国の政治を不安定化させることで米国主導のインド太平洋戦略を揺さぶる意図があると考えられます。
歴史上また儒教などによる思想から、韓国政権をリベラル思想側にすることは中国からすれば比較的容易で、南北停戦中であることなどから東側に転ばなくても、思想分断などにより不安定な状態に留めおくことで、東アジアの不安定化また日本に対し間接的な謀略を働くことも可能です。

具体的に韓国が国内対立によって不安定化した場合の日本にとっての安全保障上のリスクとは。

米韓関係の悪化による在韓米軍の縮小
在韓米軍が弱体化すれば、北朝鮮・中国の軍事的圧力が増し、日本の防衛負担が増大する。
韓国の対日外交の悪化
政権交代により再び反日政策が強まると、日韓協力が停滞し、安全保障面での協力が難しくなる。
朝鮮半島情勢の流動化
韓国が不安定化すれば、北朝鮮の挑発行動が活発化し、対馬海峡や東シナ海の軍事的緊張が高まる。

韓国の不安定化は、中国にとっては米国の影響力を削ぐ手段であり、日本にとっては安全保障上の重大なリスクとなります。
特に、韓国が完全に西側から離れるような事態が起きれば、日本の防衛戦略は大きく見直しを迫られることになるでしょう。


宗教観や道徳観、主義といった思想、生存に必要な資源や物質的要因が絡み合い、有史以来、民族間・国家間の争いは絶えることはありません。米国による国防の影響力は年々衰退している一方で、力による現状変更も辞さない独裁国家に囲まれています。
地勢上、アジア、特に東アジアでは、日本を取り込んだ陣営に利するといえます。
東西冷戦の影響が未だに残っているだけでなく、国力を付けた中国が太平洋進出を目論んでいることから日本・韓国・台湾に対して様々な圧力・揺さぶりをかけてきます。
日本と同様米国との同盟を結んでいる韓国は大陸帰属やリベラル思考も日本などより多く、台湾を国同士の争いとするか内戦とするかも利害関係などにより国ごとまちまちで情勢は不安定です。
アメリカの核の傘があり、米軍基地が多く残る日本ですが、その対中・対露・対北また旧東側への効力は年々落ちていることからも、日本の安全保障は極力自力でもたらす思考が必要でしょう。


あi